最近ニュースでも取り上げられることの多いe-sports。日本人で初めてプロゲーマーとなった梅原大吾氏、2015年の著書。なかなかの良書でした。
ぼくもスト2世代で、ストリートファイターⅢ3rd Strikeもゲームセンターで遊んでいたりしたため、背水の逆転劇をYoutube で見たりして、ウメハラの存在はもちろん知っていた。
「背水の逆転劇」。たしか、この頃はプロゲーマーではなかったはずだが、すでに会場を魅了しているし、これを見て画面の前で震える人も多いと思う。
最近、NHKのドキュメント番組「プロフェッショナル」で、梅原大吾氏が取り上げられていた回を見て、いつのまにプロゲーマーになっていたんだ!と驚き、そして本まで出してるし!とさらに驚き。最新の著書を読んでみたという感じ。
プロゲーマーのウメハラの思考は、フリーランスに響く。
自分とは違う業種の著作がこんなにも重なる部分が多いのがちょっと意外だったが、プロゲーマーもフリーランス(だと思う)なので、考え方が個人の視点に立っていてとても参考になる。
1981年生まれの著者は17歳からプロとして生活しているので、かなりロングスパンで人生を俯瞰した内容となっている。30代の読者には自分の人生や仕事観と重なる部分も多くグッとくる内容だし、20代の独立したてのフリーランスにはよく頭に入れておいてほしいなと思える文言が多かった。
特に、軸を自分の中に置くというポイントは、かなりグッときた。
プロゲーマーの場合、開催される格闘ゲーム大会(に参加するとこと)は、外部からの刺激であり、人任せになりがち。
われわれフリーランスでいえば、クライアントから仕事をもらう場合、その軸はクライアント(=他人)にあり、他人任せになりがちということだ。
サラリーマンに至っては、何もしなくても出社すれば仕事があり、毎月決まったお給料がもらえる。そういう意味では、軸は外部(会社)であり、なかなか自分の中に置くことは難しいだろう。
これはプロゲーマーならではの表現だと思うし、プロとして格闘ゲームの世界で成功している筆者が語ると説得力があるというもの。
個人で生きていかなければならないフリーランスにとっては、自分の中に軸を置き成長を続ける施策が必要であることに気づいている人は多いと思うがなかなか難しいんですよね。まさに「1日ひとつだけ強くなる」ように、少しずつ成長する継続力が必要。
面白い内容ではあったが、ところどころ独特の言い回しも多く、抽象的でわかりにくい表現があり読解に時間を要した箇所が少なからずあった。そこも含め著者の味なんだろうという感じ。
調べてみると、講演していたりとアカデミックな活動もされているみたいで、本書が読み応えのある仕上がりになったのも頷ける。ゲームの世界を知らなくても、分かるように書いている節も見受けられて、もともとわかってはいたがプロゲーマー=遊びという印象はもはや無である。
ストリートファイターシリーズを遊んでいたおじさんたちに、ぜひ読んでみてほしい一冊である。